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長期優良住宅の条件とは?理想の住まいを手に入れるためのポイント
日本は世界有数の災害大国として知られており、住宅を購入するにあたって耐久性の高さは必ずこだわっておきたいポイントです。
そんな日本で近年注目を集めているのが長期優良住宅です。今回は長期優良住宅の条件をはじめ、長期優良住宅を購入するメリットとデメリットなどを解説します。住宅購入を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
長期優良住宅の条件とは?
長期優良住宅とは、永く暮らし続けるための措置を講じた高性能住宅のことです。認定にはさまざまな項目にわたって高い水準が求められるため、長期優良住宅を建てるには、専門のノウハウを持ったハウスメーカーや工務店への依頼が不可欠となります。
長期優良住宅として認められるための具体的な条件は、以下のとおりです。
数世代にわたって使用可能な劣化対策
まず挙げられるのが劣化対策です。長期優良住宅は、その名のとおり数世代にわたって長期的に使用できる仕様にしなければなりません。具体的には、劣化対策等級の最高評価である3が必要です。
劣化対策等級を簡単にいうと、大規模な改修工事を必要とするまでどの程度の期間耐久できるか、そのために必要な対策が取られているかを3段階に分けたものです。
等級3は75~90年の耐久性を持つ建物を指しており、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造それぞれで評価されるポイントが異なります。
所定の耐震等級を達成あるいは免震建築物を採用
大きな地震にも耐えうるよう、一定以上の耐震性能の高さが担保されている必要があります。具体的には、以下のいずれかに該当することが認定条件です。
● 耐震等級2(階数が2以下の木造建築物等で壁量計算による場合にあっては等級3)
● 耐震等級1かつ安全限界時の層間変形を1/100(木造の場合1/40)以下
● 耐震等級1かつ各階の張り間方向及びけた行方向について所定の基準に適合するもの(鉄筋コンクリート造等の場合に限る)
● 免震建築物
耐震等級とは、建物の耐震性能を表す指標で、1から3の3段階に分けられます。耐震等級は、数字が大きいほど耐久性が高く、一般的な住宅の耐震等級は1、消防署をはじめとする災害発生時に重要な役割を果たす建物などの耐震等級は3です。
省エネルギー対策等級の達成
省エネルギー対策にあたっては、断熱等級5かつ一次エネルギー消費量等級6を達成する必要があります。断熱等級は住宅の断熱性の高さを表しており、2022年10月の改定によって現在7段階で評価されます。
一次エネルギー消費量とは、建物に使用される空調・照明・換気・給湯など設備機器の消費エネルギーを熱量に換算したものです。2022年の改定により、こちらの最高等級は6となっています。
各種配管などに対する維持管理・更新の容易性
維持管理および更新の容易性も必ず確保しましょう。給排水管やガス管などの各種配管には寿命が存在しており、必ず交換しなければならないタイミングが訪れます。
その際、補修がしやすいよう工夫が施されているか評価する基準として、維持管理対策等級があります。長期優良住宅の戸建住宅としては認められるには、この最高ランクである等級3が必要です。
良好な景観の形成や地域の住環境の維持・向上に配慮
景観の形成、および地域の住環境の維持と向上に対する配慮も、認定条件のひとつです。具体的には、地区計画や景観計画などがある場合、これらの内容と調和していなければなりません。
建物の高さやデザインにまで指定が入るケースも多いため、住宅を購入する予定の都道府県、および市区町村の公式サイトをチェックして、各種条例の有無のチェックをしましょう。
ひとつのフロアの床面積が40m2メートル以上必要
一戸建ての場合、延べ床面積は75m2メートル以上、ひとつのフロアの床面積は40m2メートル以上 確保しましょう。また、階段は床面積に含みません。
必要面積に関しては、地域の所管行政庁が基準の引き上げまたは引き下げを実施する場合もあるため、そうした場合は別途従う必要があります。
定期的な点検や補修などの維持保全計画
長期優良住宅の認定条件として、定期的な住宅や設備の点検、および補修に関する維持保全計画書の作成が求められます。維持保全計画書が完成したら、必ず着工前に所管行政庁に申請しましょう。
長期優良住宅の完成後は、維持保全計画書に従って定期点検や修繕を行わなくてはなりません。最初の点検は工事完了から10年以内に行い、以降は10年以内ごとに30年以上実施します。
自然災害に対する防災措置・災害配慮
各種自然災害に対する防災措置、および災害配慮も必要です。たとえば、土砂災害特別警戒区域など自然災害のリスクが非常に高い区域に建てられた住宅は、ここまで紹介したすべての要項を満たしていたとしても、長期優良住宅として認定を受けることができません。
都道府県や市区町村によって必要な措置や配慮が異なるため、自治体の公式サイトなどを利用して情報収集を行いましょう。
長期優良住宅のメリット
長期優良住宅として認定されるためには、さまざまな条件を満たす必要がありますが、それに見合うだけのメリットも存在します。どのようなメリットがあるのか解説します。
安全性と快適性の向上
災害大国である日本において、安全性の確保は家づくりの重要なポイントです。長期優良住宅は、耐震等級や自然災害に対する防災措置が一般的な家よりも厳しく設定されているため、安心して暮らせます。
長期的な耐久性も確保されているため、自分の世代以降も子や孫に引き継ぎ、永く快適に暮らし続けることが可能です。
税制優遇措置
さまざまな税制優遇措置が受けられる点も長期優良住宅のメリットです。2024年8月現在対象となる主な税は、所得税・不動産取得税・固定資産税・登録免許税の4つになります。
こうした税制優遇措置の情報は随時更新されるため、定期的に国土交通省の公式サイトで確認しましょう。
住宅ローン金利や地震保険料の優遇措置
税制面のみならず、住宅ローン金利や地震保険料の優遇措置があることもメリットです。長期優良住宅の場合、一定期間は金利が引き下げられるプランもあります。
また、地震保険料は耐震等級などによる割引を受けられるケースも多いため、高い耐震等級を求められる長期優良住宅では積極的に利用していきたいところです。
補助金の支援
長期優良住宅では、各種補助金も利用できます。ただし、補助金は年度によって変更または終了しているケースも多く、予算に達すると予定より早期に公募終了となるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
長期優良住宅のデメリット
税率の優遇をはじめ、さまざまなメリットを享受できる長期優良住宅ですが、デメリットも存在します。順番にチェックしていきましょう。
申請手続きの煩雑さ
デメリットのひとつとして、申請手続きの煩雑さが挙げられます。一般的な住宅と異なり、長期優良住宅は着工前に認定を受けなければなりません。
認定を受けるためには、登録住宅性能評価機関に審査を依頼する必要があります。審査を通過したら証明書と一緒に必要書類を用意し、管轄の行政庁に提出しますが、ここまで1か月 ほど時間がかかります。
また、長期優良住宅に関する経験が浅いハウスメーカーや工務店の場合は、さらに手続きに時間がかかる可能性もあるでしょう。
建設費用の増加
建設費用が増加しやすい点も見過ごせないデメリットです。長期優良住宅に認定されるには、一定以上の耐震性能や床面積を確保しなければなりません。こうした基準を満たすための工事費用が発生するため、全体的な建設費用が高額になりがちです。
建築予算が潤沢であれば問題ありませんが、もし限られた予算内で家づくりをする必要がある場合は、満たすべき基準と関わりのない設備のランクを落とす、デザインを変更するなど、ある程度妥協が必要な部分も出てくるでしょう。
定期点検と維持管理の必要性
長期優良住宅のデメリットとして、定期点検と維持管理が必要な点も挙げられます。都度点検を実施するために、予算を用意しなければなりません。
また、リフォームや増築をする場合も、所管行政庁より計画変更の認定が必要です。点検や計画変更の認定を怠った場合、長期優良住宅の認定を取り消されるほか、補助金や優遇されていた税金の返還を求められる可能性もあります。
長期優良住宅で利用できる補助金と税制優遇
長期優良住宅は、一般的な住宅よりも建設費用が高額になる傾向があります。そのため、補助金や税制優遇などを適切に利用していくことが望ましいでしょう。
以下では、長期優良住宅が利用できる主な補助金や税制優遇などを紹介します。
住宅ローン控除
住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは、住宅ローンを借り入れて新しく住宅を建てたときや既にある住宅の増改築を行った際、年末時点でのローン残高の0.7%を所得税などから控除する制度を指します。
当該の住宅および、その敷地となる土地の購入に関わるローンが控除の対象です。期間は入居時から最長13年間となっており、所得税から控除しきれなかった場合は、翌年の住民税から控除される仕組みです。
この控除は、住宅の環境性能や入居年度によって大きく借入限度額が変動します。長期優良住宅は最も高額の借入限度額が設定されているため、住宅ローンを借り入れる場合はぜひ活用したい制度です。
たとえば、令和6年度に新築の長期優良住宅へ入居した場合、子育て世帯や若者夫婦世帯は5,000万円(最大455万円控除)、その他世帯でも4,500万円(最大409.5万円控除)となります。
不動産取得税の軽減
不動産取得税は、その名のとおり不動産を取得した際にかかる税金です。一般住宅の場合、不動産取得税の控除額は1,200万円 に設定されていますが、長期優良住宅の場合は1,300万円まで控除が拡大されます 。
登録免許税の減税
登録免許税は、登記手続きをする際に国に納める税金のことです。税率は登記の種類によって異なり、建物を新築した場合の所有権保存登記は税率0.4%で設定されていますが、長期優良住宅の場合は0.2%まで軽減されます。
固定資産税の軽減延長
固定資産税は、土地や家屋などの不動産に課される税金です。住宅を新築で取得した場合、固定資産税は3年間のみ2分の1に軽減されますが、長期優良住宅の場合は5年間まで延長されます。
投資型減税の控除
投資型減税(認定住宅等新築等特別税額控除)とは、長期優良住宅を新築して入居した場合、その年の所得税から住宅の性能強化費用相当額を10%控除できる制度です。
性能強化費用相当額は住宅の床面積に応じて決まり、上限は650万円(最大65万円控除)となっています。ただし、住宅ローン減税と同時には使えません。
贈与税の非課税枠拡大
贈与税とは、個人から贈与によって取得した財産に対して課される税金ですが、不動産を購入するにあたって親から資金援助を受けた場合、一定額まで非課税になります。
一般的な住宅の場合は500万円 までが対象ですが、長期優良住宅を含む省エネ等住宅の場合は1000万円 まで非課税となります。
住宅ローン金利の優遇
長期優良住宅で利用できる住宅ローン金利の優遇は、フラット35Sフラット(金利Aプラン)が挙げられます。フラット35S(金利Aプラン)の場合、当初5年間の金利引き下げ幅が年0.5%となり、総返済額ではフラット35より80万円以上もお得になります 。
ただしフラット35Sには予算金額があり、予算金額に到達する見込みなった場合は受付が終了します。申し込みが終了していないか、事前に必ず確認してください。
また、長期優良住宅であれば返済期間最長50年 のフラット50も利用できます。こちらは、フラット35またはフラット20との併用も可能です。
地震保険料の割引
地震保険料は住宅性能による各種割引を受けられます。たとえば耐震等級割引では、等級2で30%、等級3では50%の割引となっています。また、免震住宅の場合も50%の割引が適用されます。
割引を受けるためには、建設住宅性能評価書をはじめとする確認書類を用意する必要があります。また、同時に複数の割引を受けることはできません。
子育てエコホーム支援事業の補助金
子育てエコホーム支援事業は、国土交通省による補助金制度です。長期優良住宅の場合は1戸につき100万円の補助金が利用できますが、子育て世帯または若者夫婦世帯であることなど、一定の条件を満たす必要があります。
理想の長期優良住宅を実現するための流れ
最後に、理想の長期優良住宅を実現するための基本的な流れについて解説します。手続きや審査に関する情報も取り上げるため、順番にチェックしていきましょう。
長期優良住宅に強いハウスメーカーを選ぶ
認定条件を満たす住宅を建てるには、知識と経験が不可欠であり、なかには長期優良住宅を建てられるほどの技術を持っていない業者も存在します。まずは、こうしたノウハウのあるハウスメーカーや工務店を探しましょう。
認定申請の手続き
長期優良住宅の認定申請の手続きは、工事の着工前に施主または分譲事業者が行う必要があります。申請の際は、長期使用構造等確認申請書をはじめ複数の書類を用意しなければならないため、申請前に書類の抜けが発生していないか、しっかり確認しておきましょう。
必要な書類一覧と申請費用
申請の際に必要な書類としては、長期使用構造等確認申請書、建住宅用の設計内容説明書・各種図面・各種計算書などの申請添付図書、その他審査に当たって必要な書類などが挙げられます。
申請費用は自治体によって異なります。群馬で新築戸建住宅を申請する場合、住宅性能評価書を添えた場合は18,000円、添えない場合は床面積によって71,000~81,000円の手数料が必要です。
着工から完成まで
着工から基礎工事、建方工事、仕上げを経ると、住宅は完成です。工事責任者が建物全体をチェックし、問題がなければそのまま引き渡されます。
まとめ
長期優良住宅は、安全かつ安心な住まいを求めている場合におすすめです。一方で、耐震性能を高めるために予算が必要なため、補助金や控除などを利用して、予算を抑える工夫も求められます。
また、長期優良住宅を建設する場合は、経験豊富なハウスメーカーや工務店に仕事を依頼することも大切です。
群馬セキスイハイムは、長期優良住宅を含む多種多様な家づくりのノウハウを有しています。サポート内容も充実しており、初めて家づくりをする方も安心です。ぜひお気軽にご相談ください。