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ZEHとは?メリット・デメリットや補助金制度をわかりやすく解説!
ZEHとは、太陽光発電などを取り入れ、家が消費するエネルギー量の削減を目指した住宅のことです。しかし、ZEHと認定されるために必要な条件や、メリット・デメリットについてご不明な方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ZEHの概要やメリット・デメリットはもちろん、建てるうえでのポイントや、利用できる補助金制度について解説しています。ZEHを選択するべきか考える判断材料として、ぜひ本記事をお役立てください。
ZEHとは?
ZEHは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、自宅で消費されるエネルギーと同等またはそれ以上のエネルギーを生成できる住宅のことです。太陽光発電などで自家発電を行い、高い断熱性能や省エネ設備を備えることで、家庭内のエネルギー消費を最小限に抑えます。
日本はエネルギーの大部分を海外からの輸入に頼っており、自然災害によるエネルギーの供問題に対する対策も求められています。こうした背景のなか、エネルギーの自給自足が可能な住宅として、ZEHが推奨されるようになりました。
ZEH=エネルギー収支がプラスになる家
ZEHは家庭で使うエネルギー量を、家が生み出すエネルギー量で賄うため、エネルギー収支がプラスになることもあります。
エネルギーを生み出す方法としては、主に太陽光発電などの再生可能エネルギーが活用されることが多いです。また、断熱性能やエネルギーを節約できる高性能な設備を組み合わせる場合もあります。
ZEHの種類
ZEHには、以下の5種類があります。
● ZEH
● ZEH+
● Nearly ZEH
● Nearly ZEH+
● ZEH oriented
いずれもZEHの一種ですが、異なる特徴を持っています。
ZEH
ZEHは住宅における断熱性能の向上や省エネ機器の活用により、家庭の一次エネルギー消費量を20%以上減少させることが可能です。
太陽光パネルなどの再生可能エネルギー源を活用することで、消費されるエネルギーよりも多くのエネルギーを生成し、一次エネルギー消費量を実質ゼロ、あるいはマイナスにできます。
ZEH+
ZEH+は通常のZEHを進化させたモデルで、ZEHよりさらに省エネ性能が高いことが特徴です。
ZEH+では、一次エネルギー消費量を断熱性能の向上と省エネ機器の導入により、25%以上削減することが必須要件です。加えて、太陽光パネルなどを通じた再生可能エネルギーの積極的な利用で、消費エネルギーを上回るエネルギーを生み出すことも求められます。
さらに、以下のなかから2項目以上を満たす必要があります。
1. 外壁などの外皮性能を高める措置
2. 高度エネルギーマネジメントシステム(HEMS)の導入
3. 電気自動車を使ったエネルギー自家消費の拡大
Nearly ZEH
Nearly ZEH(ニアリー ゼッチ)は、太陽光発電が困難な条件下にある地域、たとえば寒冷地や日照時間が短い地域、または多雪地域向けに設計されたZEHの仲間です。
Nearly ZEHもZEH同様、家の一次エネルギー消費量を最低20%削減することが求められます。さらに、条件にもよりますが、太陽光パネルなど再生可能エネルギー源を用いて75%から100%未満のエネルギー削減を目指します。
Nearly ZEH+
Nearly ZEH+はNearly ZEHと同じく、太陽光発電の設置が難しい条件の地域向けのZEHです。
Nearly ZEH+では、断熱性能と省エネ機器の向上により、一次エネルギー消費量を25%以上削減することが必須です。さらに、太陽光パネルなどの再生可能エネルギーを利用して、消費エネルギーの75%以上をカットします。
それに加えて、ZEH+同様、以下のなかから2項目以上を満たす必要があります。
1. 住宅の外皮性能の強化
2. 高度なエネルギーマネジメントシステムの導入
3. 電気自動車を用いたエネルギー自家消費の促進
ZEH oriented
ZEH Oriented(ゼッチ オリエンティッド)も、太陽光発電の導入が困難な都市部や多雪地域向けのZEHです。ただし、再生可能エネルギーの利用は必須ではないことが特徴です。
その代わり、断熱性能の向上や省エネ機器の導入によって、家の一次エネルギー消費量を20%以上削減することが求められます。
ZEHを実現する3要素
ZEHを実現するために欠かせないのは、以下3つの要素です。
● 省エネ
● 断熱
● 創エネ
各要素に関する理解を深めていきましょう。
省エネ
ZEHを実現するには、家のエネルギー消費量を効率的に管理し、最小限に抑える「省エネ」が欠かせません。管理の際、HEMS(Home Energy Management System)というシステムが中心的な役割を果たします。
HEMSは家庭内で消費されるエネルギーの量や、太陽光発電によって生成されるエネルギーの量をわかりやすく可視化するシステムです。さらに各設備を自動制御する機能を備えており、これによって最適なエネルギー使用計画を立てることができます。
HEMSの利用に加え、省エネ効果の高いLED照明や高効率給湯システム、省電力型の冷暖房・換気システムの導入も無駄な電力消費の削減に役立つでしょう。
断熱
ZEHは外部の気候変動に左右されず、室内の温熱環境を一定に保つために高い断熱性能が求められます。
たとえば、住宅の壁や屋根に高品質の断熱材を使用するほか、熱を逃しにくい窓を設置するといった取り組みが効果的です。このような取り組みにより、冷暖房に必要なエネルギー消費が削減され、結果として省エネにつながります。
また、断熱性能の向上はエネルギー効率のよい快適な居住空間を作り出すと同時に、1年を通じて過ごしやすい室内温度を維持する効果も期待できます。
創エネ
ZEHの実現において、家自体がエネルギーを生成する「創エネ」は不可欠な要素です。創エネの手段として代表的なのが、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーシステムの導入です。
創エネにより生活に必要なエネルギーを自給自足できるだけでなく、余分なエネルギーを蓄えることで、エネルギー収支をプラスに保つことも可能となります。
また、停電などの非常時においても、自家発電による電力供給が可能となるため、安全を守るうえでも重要な役割を担います。
ZEHを建てるメリット・デメリット
次は、ZEHを建てるメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
ZEHを建てるメリット
ZEHを建てることで、以下4つのメリットが得られます。
● 光熱費が抑えられる
● 非常時でも電気が使える
● ヒートショックなどを起こしにくい
● 補助金制度が活用できる
光熱費の削減はイメージしやすいですが、ヒートショックといった病気のリスクを抑えられる利点もあるのがZEHを建てる強みです。
光熱費が抑えられる
ZEHを建てる際、高度な断熱技術と省エネ設備、太陽光発電設備を導入するケースが多いため、光熱費を削減できます。ZEHは外部環境の温度変動に左右されにくい室内環境を保持し、冷暖房にかかるエネルギー消費を最小限に抑えることが可能です。
さらに、太陽光発電で生み出された余剰電力を電力会社に売ることもできます。ZEHは年間を通じて快適な居住環境を提供しつつ、経済的な負担も軽減してくれます。
非常時でも電気が使える
ZEHは非常時でも電力を確保できるため、災害時の備えとして有効です。太陽光発電によって自宅で生成した電力を蓄電池に蓄えれば、台風や地震などの自然災害による停電時にも電力供給を継続できます。
蓄電した電力を照明や冷暖房に利用することで、災害時も落ち着いて生活できるでしょう。
ヒートショックなどを起こしにくい
ZEHは高い断熱性能を持っているため、ヒートショックのリスクを減少させる効果があります。夏は涼しく冬は暖かい環境を維持することで、部屋の移動による急な温度変化を抑えられるためです。
安定した室温は、とくに心臓が弱い傾向にある高齢者にとって重要で、冬場によく見られる脳卒中や心筋梗塞など、ヒートショックに起因する健康被害の予防に役立ちます。
補助金制度が活用できる
ZEHを建てる際、補助金制度を活用できる点もメリットのひとつです。経済産業省や環境省、国土交通省が複数の補助金を提供しており、ZEHだけでなく、ZEH+などのより高い環境性能を目指した住宅の建設に対して、財政的な支援が受けられます。
たとえば、補助金制度には以下のようなものがあります。
● 子育てエコホーム支援事業:最大100万円
● 戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH) 化等支援事業:最大100万円+追加補助最大25万円
補助金は、省エネ性能の高い住宅を建てることによるメリットに加え、建設コストの負担軽減にもつながるため、積極的に活用しましょう。
ZEHを建てるデメリット
ZEHにはさまざまなメリットがある反面、以下3つのデメリットも存在します。
● デザインや間取りに制限がある
● 発電量が天候や日当たりに左右される
● 太陽光パネルの導入や点検のコストがかかる
デメリットも考慮に入れたうえで、ZEHを建てるべきか検討しましょう。
デザインや間取りに制限がある
エネルギー効率を高めるために設計上の制約が生じるため、外観や間取りに影響を及ぼす可能性があります。とくに、太陽光発電パネルの設置に適した屋根の形状や角度など、省エネ設備の要件がデザインに一定の制限を加えてしまうケースが多いです。
しかし、事前に好みや要望を担当者に伝え、ZEH建築の事例を参考にしながら話し合いを進めることで、機能性とデザイン性を兼ね備えた住宅を実現することは十分可能です。
発電量が天候や日当たりに左右される
ZEHに導入する太陽光発電は、天候や日照条件で発電量が左右される点をあらかじめ理解しておきましょう。晴天の日には効率よく電力を生み出せる一方、曇りや雨の日、日照時間が短い冬季は発電効率が低下します。
また、住宅の立地によっては、近隣の建物や自然環境による日陰が発電量に影響を与えることもあります。そのため、ZEHの建設を検討する際は、土地の日照条件や将来的な周辺環境の変化も考慮に入れましょう。
太陽光パネルの導入や点検のコストがかかる
ZEHに太陽光発電システムを取り入れることは、省エネと創エネを実現するうえで重要な役割を果たしますが、システムの導入と維持には一定のコストがかかります。
初期投資として、太陽光パネルの設置や付随する省エネ機器に費用がかかるうえに、システムを適切に機能させ続けるためには定期的なメンテナンスや点検が欠かせません。
また、点検は「改正FIT法」で義務付けられており、発電効率の低下を未然に防ぐためには専門の業者による定期的な点検が求められます。
点検は1回あたり10万円以上の費用がかかることもありますが、太陽光パネルメーカーによっては無料点検保証を提供している場合もあるため、導入時の選定には保証内容も考慮に入れるとよいでしょう。
ZEHを建てる際のポイント
ZEHを建てる際、以下3つのポイントが重要になります。
● ZEHの実績が豊富なビルダーに依頼する
● 引き渡し後の保証が充実しているビルダーに依頼する
● 補助金制度を活用する
完成する住宅の出来はもちろん、建設後に起こり得るトラブルなども考えて保証を視野にいれることが大切です。
ZEHの実績が豊富なビルダーに依頼する
ZEHの建設を検討する際は、ZEHビルダーの登録を持つ実績豊富なビルダーを選びましょう。
ZEHビルダーとは、国からZEHの建設に関する認定を受けた工務店やハウスメーカーのことです。ZEH特有の設計や技術に関する深い知識と経験を持っているため、建設中に生じるさまざまな問題への対応が可能です。
また、デザインや間取りの要望を実現しつつ、快適で機能的な住空間を提供するためのアドバイスや代替案を提案してくれるでしょう。さらに、太陽光パネルの設置にともなう屋根の荷重や耐震性への配慮など、安全面に関する懸念にも専門的なアドバイスも提供できます。
ZEHを建てる際には、ZEHビルダーとして認定を受けているなど、豊富な実績を持つハウスメーカーや工務店を選定することが重要です。
引き渡し後の保証が充実しているビルダーに依頼する
長期間にわたり安心してZEHで暮らすためには、引き渡し後の保証が充実しているビルダーを選ぶことが大切です。
ZEHには、創エネ・省エネ機能を担保するために数多くの設備が含まれており、定期的なメンテナンス、場合によっては修理や交換などの対応が求められます。
たとえば、台風による被害や飛来物による破損が生じた場合に、保証制度ですぐに修理や交換が可能であれば安心して住み続けられます。ZEHを建てる際には、設備ごとの保証内容や期間、サポート体制を確認し、安心を確保できるビルダーに依頼しましょう。
補助金制度を活用する
ZEHを建設する際、国や地方自治体が提供する補助金制度を活用すると、建築にかかるコストを削減できます。ただし、補助金には申請期間や条件が定められているため、計画の初期段階での確認が必須です。
また、地方自治体による独自の補助金制度も存在し、国の制度と併用することでさらなる支援を受けられる場合があります。補助金制度の詳細は自治体のウェブサイトや関連文書で確認し、適用条件や申請方法を事前に把握しておくことが重要です。
ZEH補助金を受ける際の流れ
ZEH補助金を受け取る際の大まかな流れは、以下のとおりです。
1. ハウスメーカーや工務店を選定
2. 住宅設計
3. 補助金の申請と審査
4. 工事の開始と完了
5. 実績報告書の提出
6. 補助金の入金
補助事業ごとに異なる点もあると考えられるため、申請を考えている事業で公募が開始されたら、公募要領などの関連資料にしっかり目を通しましょう。
ZEH補助金を受ける際の注意点
ZEH補助金を受ける際は、以下3点に注意する必要があります。
● ZEHビルダーに建築を依頼する
● 申請後は間取りや設備の変更ができない点に注意する
● 補助金の最新情報をこまめにチェックする
ここからは、具体的にどのようなことに注意すべきかを解説します。
ZEHビルダーに建築を依頼する
ZEHを建てる際に補助金を利用するには、ZEHビルダーへの依頼が不可欠です。ZEHビルダーを通じて建設しない限り、補助金の対象外となってしまうためです。
補助金を活用しようと考えている場合は、まずはZEHビルダーの選定から始めることが大切です。
申請後は間取りや設備の変更ができない点に注意する
補助金の申請後、原則として間取りや設備の変更が認められません。そのため、補助金の申請前には、住宅の間取りや設備など細部にわたり検討し、将来的なライフスタイルの変化も見据えたうえで、最終的なプランを固めるようにしましょう。
間取りや設備に後から変更が必要となると、補助金の受給資格を失う可能性があるため、注意が必要です。
補助金の最新情報をこまめにチェックする
ZEHに関する補助金は予算に限りがあるため、申請は先着順で受け付けられることが多いです。そのため、補助金に関する最新の情報は定期的にチェックし、可能な限り早期にハウスメーカーや工務店との打ち合わせを行いましょう。
補助金制度の詳細や申請期間、必要書類など、必要な情報を事前に収集し、早めに申請することで、補助金を受け取れる可能性が高まります。
まとめ
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、省エネと創エネの技術を駆使して、エネルギー収支をゼロまたはプラスにすることを目指す住宅です。
断熱性能の向上や省エネ設備の導入、太陽光発電などの創エネ技術により、快適で持続可能な生活空間を実現します。しかし、デザインや間取りに一定の制約があること、太陽光発電の発電量が天候に左右されるなどのデメリットがあることも理解しておきましょう。
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