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二世帯住宅の完全分離型は後悔する?失敗しないための知識
完全分離型の二世帯住宅は、独立した生活空間を確保しつつも、家族が近くにいる安心感を得られるのが魅力です。しかし、実際に住み始めてから後悔することも少なくありません。
通常の住宅とは異なる特徴を持っているため、思いも寄らない問題が発生する可能性があるからです。二世帯住宅で後悔しないためには、現在住んでいる家の問題点を振り返るだけでなく、二世帯住宅特有の課題にも目を向けることが重要です。
この記事では、二世帯住宅完全分離型の特徴と、後悔しない住宅を建てる方法を紹介しています。完全分離型ならではのメリットを活かし、幸せな二世帯生活を送りましょう。
二世帯住宅の完全分離型は後悔するといわれる理由
ほどよく距離感を保てて、プライバシーが確保しやすいのが完全分離型です。しかし、実際に完全分離型を選んだ家庭からは「後悔した」との声も聞かれます。その理由をくわしく見ていきましょう。
生活音が気になる
住んだ後に生活音が気になる場合があります。完全分離型なら音の問題は発生しないと思いがちですが、実際にはそうとは限りません。たとえば、上下階で分離するタイプの二世帯住宅の場合、2階の音が階下に響いて気になってしまうケースが考えられます。
また、子世帯と親世帯の生活リズムが異なっていると、こうした生活音による弊害がとくに顕著になるでしょう。たとえば子世帯が共働きの場合、昼間は仕事に出ているため、夜に洗濯や料理などの家事を行うことが多くなります。
一方、親世帯は、子世帯が就寝中の早朝に起床する方が多い傾向にあるため、朝早くからのドアの開け閉め音や水の使用音が子世代側へのストレスとなるケースが想定できます。また、年齢とともに聴力が低下すると、話し声やテレビの音量も大きくなる傾向があります。
介護がストレスになる
完全分離型は、一方の世代の家に行くために一度外に出なければならず、移動に手間がかかります。
とくに介護が必要な状況になると、日常生活の多くの部分で家族のサポートが不可欠です。食事の準備や片付け、排泄・入浴の介助などが頻繁に必要となり、介護に時間が取られることがストレスになります。
また、生活空間が分かれているため、親の健康状態を常に把握するのが難しくなります。親の健康状態が悪化すると、常にその状態を確認するために訪問しなければならず負担となるでしょう。
庭や駐車場を共有することになる
生活空間を完全に分けている完全分離型でも、庭や駐車場、バルコニーの部分は共有スペースになります。共有スペースがあることで、当初想定した以上に頻繁に顔を合わせる可能性があります。
一番の問題は、本来であればリラックスできる場所でくつろぎにくくなることです。たとえば休日に庭で趣味のDIYをしていたところ、親世帯の活動時間と被ってしまい、気を遣って場所を譲ったということが起こりかねません。
また、庭や駐車場の管理について意見の相違が生じることもあります。手入れの頻度や、どちらの世帯が管理するのかについての意見が異なると、小さなことでも軋轢が生じることがあります。
支払い関係でトラブルになる
完全分離型に限らず、二世帯住宅では光熱費や車の維持費などの支払い関係でトラブルになることがあります。とくに水道やガス、電気などの光熱費は、二世帯が共同で支払うことが一般的です。
同居前に費用の分担割合を決めていても、生活の変化により使用量や頻度も変わる場合があります。自分の世帯はあまり水道やガスを使用していないにも関わらず多く支払っている場合は、不公平感を抱く原因となるでしょう。車の維持費も同様です。
家に友人を呼びにくい
完全分離型とはいえ親族と同居しているため、家に友人を呼びにくいと感じることがあります。話し声に気を遣い、リラックスして過ごせなくなるからです。友人を招待してホームパーティーを開くことや、飲み会の後に家に招くことが難しくなるかもしれません。
将来的な家の活用に制限が出る
完全分離型を含む二世帯住宅は、将来的な家の活用に関して制限が出ることがネックになります。将来的にどちらかの世帯だけになると、広い敷地を少ない人数で維持しなければならず、維持費や管理の手間が増える可能性があります。
また二世帯住宅は、一般的な家に比べて売却や賃貸の需要が低い傾向にあります。その特殊性から希望者が限定されるため、買い手や貸し手がなかなか見つからない事態になりかねません。
二世帯住宅の完全分離型の間取りパターン
二世帯住宅の完全分離型には、2つの間取りのタイプがあります。横割り(上下分離型)と縦割り(左右分離型)です。
以下で、二世帯住宅の横割りと縦割りのメリット・デメリットについて紹介します。それぞれの特徴を理解し、自分たちにとって、どのタイプが理想の家になるのかを十分に話し合いましょう。
横割りタイプ(上下分離型)
横割りタイプ(上下分離型)とはその名のとおり、ひとつの建物を上下で分けた間取りのことです。階ごとに世帯の生活空間を完全に分けており、コストが縦割りよりも抑えられるのが特徴です。
二世帯住宅の完全分離型のなかで一番選ばれるタイプといえます。たとえば2階建ての二世帯住宅なら、1階を親世帯、2階を子世帯のように分けます。
メリット
横割りのメリットは、老後を考えたつくりにできることです。1階を親世帯が使うことで、階段を上り下りする必要がなく、膝に負担をかけません。また1階をバリアフリー化することで、親世帯の介護に備えられます。
デメリット
横割りのデメリットは、上の階からの音が下に響きやすいことです。とくに子どもの足音や、洗濯機やキッチンの水音が問題になる場合があります。
また1階部分だけ狭くなる可能性があることもデメリットです。完全分離型は玄関が独立しているため、外に階段を設けて2階にドアをつくる場合は別ですが、1階に2つの玄関スペースを設けることで1階が狭くなります。
縦割りタイプ(左右分離型)
縦割り(左右分離型)とは、建物を縦に分けるタイプです。たとえば建物の中央で世帯を分けて、左側を親世帯、右側を子世帯と配置します。敷地内に2つの建物が横に連なっているところを想像すれば分かりやすいでしょう。
メリット
縦割りのメリットは、両世帯が同じ広さの住居を持てることです。横割りの場合は1階が狭くなる場合がありますが、縦割りはそれぞれの建物が独立しているため、各階のスペースは同じ広さです。
フロアごとに自由にレイアウトできるため、ライフスタイルや好みに合わせた部屋がつくりやすく、生活音が聞こえにくいのもメリットです。縦割り住宅では、ひとつの建物を左右に完全に分けているため、お互いの生活音が気になりにくくなります。
デメリット
縦割りのデメリットは建築費用が高くなることです。建物が独立しているため、横割りよりもコストがかかります。廊下や階段、屋根などが必要となり、使える空間も狭くなるため、フロアごとの居住面積は横割りよりも少なくなります。
横割りタイプと比べると、親世帯も階段移動する必要があることもネックです。足腰への負担から、将来的に2階部分は使用しなくなるリスクがあります。エレベーターを設置する、平屋建てを採用するなど老後のことも視野に入れて検討してみましょう。
また、十分な居住スペースを確保するには広い敷地が必要です。都市部ではとくに大きな敷地を確保するのが難しく、土地取得費用も高くなる可能性があります。
二世帯住宅の完全分離型で失敗しないためのポイント
生活音や支払い関係などは、事前に対策を考えなければ、トラブルになる原因となります。以下で、二世帯住宅の完全分離型で失敗しないためのポイントを紹介します。
生活音が気にならない工夫をする
ストレスを減らすためには、お互いの生活音が気にならないような工夫が大切です。たとえば防音材を活用する、上下の階で水回りの位置を揃えるなどが効果的です。
防音材には多くの種類があり、使用する場所や遮断したい音の種類によって最適なものが異なります。たとえば防音シートは音の伝わりを抑えてくれますが、振動をともなった音は苦手です。洗濯機の音や足音を抑えるには、防振マットを使うほうが防音効果を見込めます。
また横割り住宅の場合は、水回りの設備はできるだけ上下階で同じ位置に合わせましょう。縦割りの場合は、寝室は水回りから離れた位置に配置すると生活音が気にならなくなります。
ほかにも、寝室と水回りのスペースの間に、クローゼットや押し入れなど収納設備を配置する方法が有効です。
生活ルールを決める
同居を開始するまえに、二世帯で生活ルールを決めましょう。義両親や両親と一緒に暮らす場合、夫婦と子どもだけで生活していたときのライフスタイルをそのまま貫くのは困難です。
異なる世代や価値観を持つ人々と共に住むことになるため、生活スタイルに変化が生じることは避けられません。二世帯住宅で失敗しないためには、両世帯の家族が互いのスケジュール感や要望、譲れないポイントを理解することが大切です。
とくに、共用スペースの使用方法や清掃について、納得するまで話し合いましょう。庭の使用時間帯、共用スペースの掃除当番などを決めることで、将来起こりうるトラブルを減らせます。
支払いについて事前に話し合う
支払い関係について、事前に話し合う場を設けることが大切です。たとえば子世帯2人、親世帯2人なら、光熱費は折半するという取り決めを交わしましょう。
また実際に使用した分だけを支払いたいなら、世帯ごとに光熱費を計測するメーターを設置する方法もあります。電気・ガス・水道の各メーターを個別に設置することで料金が分けられ、使用量についてのトラブルを回避できます。
さらに、一度取り決めた支払いのルールは定期的に見直しましょう。多くの場合、時間が経つにつれて生活スタイルは変化します。こうした変化に対しても、柔軟に話し合いできる状態が理想的です。
お互いの要望を反映させる
家づくりにあたって、どんな設備が必要なのか、どんな暮らしをしたいのか、譲れないポイントはどこなのか、お互いの要望を明確にすることが大切です。
まずは、それぞれの家族で気になっていることを紙に書き出していきましょう。家づくりは多くの細かいことを決めなければならないため、伝え忘れも考えられます。納得して家を建てるためにも、家族全員で十分に話し合いの時間を設け、優先順位をつけていきましょう。
お互いの意見をすり合わせられれば、後々のトラブルを防げます。家づくりの過程で、小さな不満やもやもやを放置すると、後になって「こうすればよかった」「もっと早く声を上げればよかった」という後悔につながります。
家族全員が満足できる住まいを実現するためには、どんなに小さなことでもまずは話し合うことが大事です。
将来を見据えた間取りにする
子どもが生まれる、子どもが成長するといった将来のライフイベントを具体的に想像しておかなければ、後々後悔することになるかもしれません。子どもが増えることで必要になる部屋数や、子どもが成長して独立した場合などを考慮しておきましょう。
また、親の死後、空いた部屋をどうするのかという問題も考えなければなりません。誰も住んでいない家は荒れやすく、定期的な手入れが必要になります。
二世帯住宅の一方を賃貸に出す方法もありますが、家自体が賃貸用に設計されていない場合、借り手が見つからないことも考えられます。将来的に賃貸に出す可能性を見据えて、設計段階でいくつかの対策を講じることをおすすめします。
たとえば壁側の防音対策を厳重にしておくことで、隣の住戸とのトラブルを軽減できます。またプライバシーを守るために、共有スペースをつくらないこともひとつの方法です。賃貸物件としての魅力が高まることで、借り手が見つかりやすくなるでしょう。
二世帯住宅の完全分離型に関するQ&A
二世帯住宅の完全分離型を検討する際に気になる点が、必要となる建物の広さと、費用です。以下でくわしく解説します。
完全分離型を建てるのに必要な広さは?
二世帯住宅の完全分離型を建てるためには、一般的に延べ床面積約50〜70坪(約106〜149畳)あるとよいと言われています。住まいを考える際は、居住空間だけでなく収納や玄関スペース、トイレやバスルームの水回りなどの広さを考える必要があります。
たとえば夫婦2人、親2人、合計4人世帯の場合は、3LDK+3LDK、または3LDK+2LDKの間取りがおすすめです。夫婦世帯は今後子どもが生まれる可能性もあるため、寝室ひとつと洋室2部屋をつくっておくと、子ども部屋のほか、書斎や仕事部屋としても使えるのでよいでしょう。
将来の子ども部屋は、シングルベッドや家具を置くことを考えると6畳くらいがちょうどよいサイズです。LDKが標準の10畳、寝室が8畳、6畳と8畳の洋室が2部屋、残りは水回りや収納スペースと間取りを考えましょう。
一方親世帯は、3LDKの場合、寝室ひとつと各自の部屋2つの間取りが考えられます。2LDKの場合は寝室ひとつと作業部屋ひとつですが、介護のしやすさを考慮して、お風呂やトイレなどの水回りのスペースを広めに取っておくのもよいでしょう。
まとめ
二世帯の家づくりで後悔しないためには、日頃から家族と話し合いの場を設けることが重要です。とくに、家の構造や間取りは建てた後に変更しにくいため、事前のプランニングをどこまで完璧にできるかが成功の鍵を握ります。
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