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木造住宅の耐用年数は?修繕のタイミングや建てる際の注意点を解説
木造住宅の耐用年数は、1998年の法改正により短縮され、修繕や建てるタイミングによっては、税務上の資産価値や住宅ローンの審査にも影響することがあります。
耐用年数という言葉のイメージから、住宅の寿命のように感じる方もいると思いますが、耐用年数は課税に関するひとつの目安になるものです。新築と築30年の住宅が同じ税率だとしたら、公平とは言い切れないものがあるでしょう。
そこで、今回は木造住宅の耐用年数と、メリット・デメリットについて詳しく解説します。寿命の見極め方や延ばし方にも触れますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 目次
木造住宅の耐用年数
木造住宅をはじめ、住宅に関する設備などには耐用年数があります。住宅の寿命とは異なり、減価償却の計算に使われるひとつの目安です。
住宅は新築したときが最も価値が高く、年数が経過するごとに下がっていくものです。言い換えれば、耐用年数は住宅の価値を判断する物差しのようなものといえるでしょう。
木造住宅とは
木造住宅は、主な建築資材に木材が使われている住宅です。国内では最もポピュラーな構造で、戸建て全体のおよそ8割から9割がこれにあたります。木造のほかに、鉄骨造や鉄筋コンクリート造などもありますが、これらに比べて建材が安価であることが大きな特徴です。
また、比較的自由に設計できることや、断熱性・吸湿性があるため、快適に暮らしやすいことも魅力といえるでしょう。次は、木造の主な工法を見ていきましょう。
在来工法
在来工法は、日本では伝統的な工法として知られ「木造軸組工法」とも呼ばれています。柱と梁で枠組みをつくって屋根や壁を設置することが特徴です。枠組みで住宅を支えるため、さまざまな間取りに対応できます。家族構成やライフスタイルに合わせて建てやすいことが魅力でしょう。
2×4工法
2×4工法は、ツーバイフォー工法と読み、法律上では枠組壁工法といいます。在来工法が枠組みで住宅を支えるのに対し、床や壁などの面で支えることが特徴です。在来工法に比べて間取りの自由度は高くありませんが、耐震性や耐火性に優れていることが魅力です。
また、建材や施工が一定の規格で定められているため、工期が短く、品質も安定している強みがあります。六面体の箱で住宅を建てるイメージであり、気密性や省エネ性能・遮音性なども向上させることができます。
法定耐用年数は22年
国が定める法定耐用年数は22年となっていますが、先にもお伝えしたとおり住宅の寿命を示す数値ではなく、あくまでも課税に関するひとつの目安です。法定耐用年数のほかに3つの種類があり、経済的耐用年数・期待耐用年数・物理的耐用年数があります。
経済的耐用年数は、市場で売買される価値がある期間を示すものです。立地や間取り、物件の状態などにより変わることが特徴です。国内で主流となっている木造は、海外の住宅に比べて経済耐用年数が長くはない傾向があります。
期待耐用年数は、一般的な維持管理で住み続けられる(使用できる)期間を示す目安です。簡単に言えば、見た目があまりよくない中古住宅でも、この先どれだけ住めるかの目安を示しています。
物理的耐用年数については、次で詳しく解説します。
物理的耐用年数は建材によって大きく異なる
物理的耐用年数は、建築する際の建材の劣化について判断するもので、工学的な判断を行います。たとえば木造の場合、物理的要因や化学的要素による劣化がどの程度なのかを判断するものです。
建材に使用する木の種類や、気候・メンテナンス状況により、住宅の状態が変わってくるため、ひと口に「この木材だから劣化しづらい」といったような判断はできません。あくまでも、住宅としての役割をどれだけ果たせるかの目安として理解しておきましょう。
築100年を超える木造住宅も珍しくない
住宅の寿命は建材や日頃のメンテナンスなどでも大きく異なりますが、木造の場合はとくに目安が定められているわけではありません。
住宅ローンの多くは最長35年なので、30年から40年くらいを目安にしている方もいます。しかし、築50年を超える物件や築100年を超える物件に住んでいるケースもあるため、メンテナンス次第では、世代を超えて永く住めるといえるでしょう。
木造住宅のメリット・デメリット
国内で古くから親しまれてきた木造住宅には、コスト面が軽減できるメリットをはじめ、建材が木であるがゆえのデメリットもあります。ここでは、両者について詳しく解説します。
木造住宅のメリット
木造は、ほかの構造に比べてコストを抑えられることが最大のメリットです。木の種類によるところはあるものの、鉄骨や鉄筋コンクリートに比べるとぐっと抑えられます。
また、木は調湿性や通気性に優れているため、毎日を快適に過ごせることもメリットです。四季のある日本の気候にも柔軟に対応するので、乾燥する時季・多湿の時季のどちらでも快適に過ごせるでしょう。
加えてスギやヒノキなどの建材は、高い断熱性があるため高気密・高断熱の住宅を建てやすいです。住宅性能を向上させたい場合にも最適な建材だといえるでしょう。同時に熱伝導率が低く、耐火性にも優れています。万が一、火災が発生したとしても、木の内部まで燃えるのに時間がかかるため、構造そのものが残ることが多いです。
木造住宅のデメリット
木造住宅はコスト面や住宅性能面で優れている一方、シロアリをはじめとする木を好む害虫の被害を受けやすいです。こうしたシロアリ被害を防ぐには、建築時・メンテナンス時の防蟻工事を行っている施工会社を選ぶと安心です。
また在来工法の場合、施工前の建材の管理方法や職人の技術では、品質にばらつきが出る可能性も否めません。施主は建材の管理方法まではチェックできないため、信頼できる施工会社選びに重点を置くほか、品質が一定に保たれており耐震性にも優れた2×4工法を選択するのもよいでしょう。
木造住宅の寿命を見極めるポイント
住宅の寿命は、立地やライフスタイル・メンテナンスの状態により異なります。屋外と屋内でも劣化状況が異なるため、定期的にチェックすることが大切です。
場所別に見ていくことで部分的な修繕で済むこともあるため、修繕が必要となる寿命の見極めポイントをそれぞれ見ていきましょう。
屋根
普段から見る機会が少ない屋根は、屋根そのものの変色やズレ・破損、サビ、雨どいの詰まりや破損などが主なチェックポイントです。屋根の変色は、日々の太陽光や雨風などにより劣化している可能性があります。
また、屋根瓦やスレート屋根のズレや破損は、台風や地震などの影響でも発生します。これらを放置しておくと防水性の低下や雨漏りの原因になるため、塗装など修繕が必要です。金属屋根の場合はサビが出る可能性があるため、数年に1度は劣化がないか点検するのがよいでしょう。
なお、雨樋は塩化ビニル製のものが多いため、落ち葉などが詰まりやひび割れすることもあります。できる範囲で定期的に清掃することはもちろん、万が一ひび割れなどが見つかった場合は、専門の修理業者に依頼することをおすすめします。
外壁
外壁は、地上から見て塗装のはがれやひび割れ、汚れなどがある場合は修繕のサインです。外壁を指でこすってみて白く粉が付着する場合は、チョーキングが発生しています。
外壁がモルタルの場合はひび割れがひとつの目安となり、これらの症状がある場合は修繕するタイミングといえます。外壁材のつなぎ目が劣化している場合も、新たにコーキングし直す必要があるでしょう。
バルコニー・ベランダ
バルコニーやベランダは、家との接続部分を含めて、隙間ができている場合は危険な状態です。地盤沈下や地震・構造欠陥などの可能性があるため、早めに修繕することが必要です。
排水口の詰まりがある、または床に水が溜まる場合は、室内に雨水が進入する可能性があるため、専門家に相談することをおすすめします。その際に、防水補修もしておくとよいでしょう。
また、手すりはガタつき・サビ・塗装のはがれの有無をチェックして、適切に修繕することをおすすめします。
水まわり
キッチンやお風呂場、手洗い場・トイレなどの水まわりは、床材や設備の接続部分などにシミやカビが発生していないかチェックしてください。浴室と脱衣所の境目やタイルのひびや欠け、蛇口などの設備の劣化も見ておきましょう。
水まわりは毎日のように水を扱うため、どうしても湿気が多い場所です。設備そのものに問題がなくても周囲の壁や床が浮いているときや、水漏れのあとがある場合は、早めの修繕をおすすめします。わずかなシミでも、内部では水漏れが進行している可能性があるからです。
内部の水漏れをチェックするには、屋内のすべての蛇口を閉めて水道メーターが動いているかを確認します。パイロットがわずかでも回っている場合は、水漏れしている可能性があります。
床
目視で確認するほかに裸足で歩いて、きしみやゆがみがないかチェックします。床の傾きや浮き・沈みがある場合は、床材の傷みやシロアリ被害、漏水、地盤沈下などが考えられます。そのほか傷がないか、ビニル系の床なら剥がれがないかも確認しておきましょう。
畳の場合は、色褪せや浮き・沈み・きしみなどをチェックしてください。床の場合とあわせて問題がある場合は、早めに修繕する必要があります。
庭・外まわり
庭を含む外まわりは、塀の傾きやひび割れ、窓枠や軒下・手すりなどをチェックしましょう。木部は塗装のはがれやひび割れがないか、鉄部はサビや接続部分に異常がないかを確認します。
塀の傾きやひび割れは、地震が起きたときに倒壊する可能性も含めてチェックしておき、気になる部分がある場合は早めの修繕をおすすめします。一度は外構業者に確認してもらうのもよいでしょう。
木造住宅の寿命を延ばす方法
木造の寿命を少しでも延ばすには、劣化している部分の修繕や日頃のメンテナンスが欠かせません。場所によっては個人では対応できないこともあるため、その際には専門家に依頼することをおすすめします。
こまめに掃除する
屋内はこまめに掃除することが何より大切です。それぞれの場所に合う方法で掃除をすることで、カビの発生を抑制でき、同時に各所の劣化状況もチェックできます。
家のなかには、どうしてもほこりが溜まりやすい場所や、普段から日が当たらずに湿っぽい場所があります。そういった部分も日頃から清潔に保つことで、劣化につながる原因を排除することにつながるでしょう。
定期的にメンテナンス・修繕を行う
住宅全体を定期的にメンテナンスしたり修繕したりするのも寿命を延ばすことになります。たとえば、10年に1度は専門業者に住宅のすべてをチェックしてもらい、劣化している部分を修繕するといったことがあげられます。
屋根など、部分的なところだけでも定期的にチェックしてもらうことで、大きな劣化を避けられるでしょう。
屋根
屋根は、劣化や屋根のズレ・割れなどを早期発見するため、定期点検をしてもらうことがおすすめです。数年に1度、もしくは台風のあとなども見てもらうことをおすすめします。
また、金属屋根の場合は紫外線などでの劣化により、数年程度で色褪せが生じます。放置しておくと重篤なサビにつながるため、防サビ効果がある塗装を定期的に施すとよいでしょう。
外壁
外壁は、年に1回から2回程度、個人での点検の意味も含めて水洗いすることをおすすめします。軽微な汚れならホースで水をかけるだけでもOKですが、汚れがひどい場合は外壁専用の洗剤を使うときれいに落とせます。
もしも、カビや藻が生えているとき、または換気扇周りの油汚れが気になるときは、高圧洗浄機を使うのもひとつの方法です。家庭用の高圧洗浄機でも十分な効果を得られるため、定期的に水洗いしてください。
壁紙
壁紙はおおむね5~10年程度が張り替えの目安ですが、日頃からちょっとした汚れならやわらかい布で拭き取ったり、水に中性洗剤を少量含ませた布で拭いたりすることで、きれいな状態を保てます。
このとき、ゴシゴシこすらずに優しく拭き取るか、軽く叩くようにすると壁紙に負担をかけずに汚れを落とせます。もしもこれらの方法で対応できない場合は、部分的・全体の張り替えが必要です。
床
床は半年を目安にワックスをかけるか、日々の掃除のなかでワックス効果がある洗剤を使うことで、寿命を延ばすことに貢献します。ガラスコーティングなど、ワックスがけが必要ない床であれば乾拭きでも十分です。
いずれのタイプの場合も、衝撃や傷はつきやすいため、生活雑貨の落下や金属をこするようなことは極力避けることも意識していきましょう。
キッチン
キッチンは食洗機などの設備を含め、全体的におおむね10~20年前後が寿命です。年数に大きく差が開く理由は、水まわりのもの・電気を使うもの・熱にさらされるものなど、各設備によって大きく性質が異なるためです。
扉や天板などは、日頃から掃除しておき、蛇口や排水管の接続部分は水漏れがないか定期的にチェックしておきましょう。排水口は週に1回程度を目安に、部品を外して掃除するか、専用の洗剤を使って詰まりや臭いの発生を予防するとよいでしょう。
そのほか、換気扇も定期的に掃除しておくと室内外への油分の飛散を防ぐことにつながります。
トイレ
トイレは日々の掃除が重要であり、とくに詰まりやタンクのトラブルは定期的に点検することをおすすめします。便器にバケツ1杯の水を流して流れ具合を確認することや、タンクからの水の流れを確認しておきましょう。
また、便器は温水便座なら10年から15年、一般的な便座なら割れない限りは使用できますがパイプなど消耗品の交換が必要となります。設置から年数が経過している場合は、便器の内部・外部をときどき観察して、ひび割れや欠けがないかも見ておきましょう。
浴室まわり
浴室まわりは入浴後にどうしても湿気がこもりやすい場所です。入浴中から換気扇を回しておくことはもちろん、入浴後は窓を開けて換気するなど、湿気を逃がすよう心がけましょう。脱衣所も思いのほか湿気が多いため、換気することをおすすめします。
また、ドアサッシや壁の目地は雑巾で水気を拭き取る、浴室の壁や床はスクイジーでさっと水気を流すことも有効な手段です。
まとめ
今回は木造住宅の耐用年数と、修繕のタイミングや注意点を解説しました。耐用年数は寿命と混同するケースがありますが、課税における目安です。法定耐用年数である22年を経過したとしても永く住み続けられるため、住宅の定期的なメンテナンスを行いましょう。
木造は国内でもシェアの多い構造であり、古くから親しまれてきたものです。木のぬくもりはもちろん、吸湿性・通気性・耐火性など木材ならではの性能があることや、ほかの構造よりもコスト面の負担を軽減できることが特徴です。
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