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用途地域とは?13種類の特徴や調べ方をわかりやすく解説

新しく家を探すにあたって、土地を所有していない方は、まず土地探しを始める必要があります。その際、あらかじめ知っておきたい知識がいくつかありますが、そのうちの1つが用途地域です。
本記事では、土地探しの経験が浅い方、またはまったくない方向けに、用途地域の概要、およびどのような種類があるかについて解説します。また、用途地域の種類がわからないときに、どのように調べればよいか、具体的な調査方法も一緒に取り上げるため、これから土地探しを始める方は、ぜひ参考にしてください。
- 目次
用途地域とは
用途地域とは、計画的な市街地を形成するために用途に応じて13地域 に分けられたエリアの呼称です。以下では、用途地域によって制限されているもの、用途地域の重要性について解説します。
用途地域の制限
用途地域によって制限されているものの1つが、建設できる建物の種類です。たとえば、工場専用のエリアでは、住宅用の建物の建設は認められていません。
建物の建ぺい率と容積率にも制限が設けられています。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。
土地の面積に対して、どの程度の大きさの住宅まで建設してよいかを表します。なお、建ぺい率の計算式は、以下のとおりです。
● 建物面積÷敷地面積×100
たとえば、132㎡の土地に対して、66㎡の建物を建設した場合、建ぺい率は50%になります。
そして、建ぺい率はいわゆる平面的な広さを示しますが、それに対して容積率は敷地面積に対する3次元空間の割合を示す割合です。以下、容積率を算出するための式になります。
● 延べ床面積÷敷地面積×100
計算式に登場する延べ床面積とは、建物各階の床面積の合計のことです。たとえば、100㎡の土地に対して、1階が50㎡、2階が25㎡の住宅を建設した場合、容積率は75%になります。
なお、玄関やバルコニー、ベランダ、ロフトなどは延べ床面積に含まれません。
用途地域の重要性
用途地域は、生活環境の保護という重要な役割を果たしています。たとえば、用途地域によっては建設する建物の高さに関する規制が設けられていますが、もし規制がない場合、あとから極端に高い建物が建てられてしまい、日照に関する問題が発生する可能性も否定できません。快適な正確環境を守るためにも、用途地域は必要不可欠な存在です。
また、経済活動の活性化の面でも、用途地域は重要な役割を果たしています。商業や工業活動には、それぞれ適した環境が存在しており、それを無視して商業施設や工業施設を建設しても、期待している成果が得られない可能性が高いです。用途地域によって商業、および工業活動に適した環境を整備することで、効率的な経済活動を支援しています。
そして、持続可能な都市づくりを目指すにあたっても、用途地域は欠かせません。昨今はSDGsに代表されるように、環境に対する意識が民間、企業問わず高まっています。計画的に土地を利用することで、環境負荷の少ない持続可能な都市の実現が可能です。
用途地域の分類
快適な生活環境の保護や、効率的な経済活動の実現のために設定されている用途地域は、以下の3種類に分類できます。
● 住居系
● 商業系
● 工業系
それぞれの特徴は、次のとおりです。
住居系
住居系とは、読んで字のごとく住宅地として利用する地域を指します。13種類の区分のうち、8種類 が住居系の区分です。
高さ制限が設けられているケースがほとんどのため、採光を確保しやすい点が住居系のメリットとして挙げられます。また、区分によっては建築制限だけでなく騒音の規制基準も厳しく設定されているため、静かな環境で過ごしやすいです。
そのため、一般的な家を建てる場合は、住居系のエリアの土地を購入すれば間違いないでしょう。大きな家に住みたい場合は、容積率や建ぺい率が高いエリアの土地を購入し、家を建てるのをおすすめします。
商業系
商業系とは、スーパーのような物販店舗をはじめ、飲食や風営系施設のための地域を指します。駅前の繁華街や商業ビル群、大きな幹線道路沿いなどが指定されるケースが多いです。
13種類の区分のうち、商業系は2種類 存在し、ほかの用途地域に比べさまざまな制限が緩和されています。たとえば、原則的に日影規制や北側斜線制限などが適用されないことが多いです。
そのため、建ぺい率や容積率が大きく、ほとんどの建物を建てられます。生活エリアに商業施設が自然に集まるため、利便性も高いです。
ただし、商業の発展を重視したエリアのため、住宅系の用途地域と比較すると騒音や治安の問題が発生しやすい点がデメリットとして挙げられます。また、交通量も多く、人も集まりやすいため、静かに過ごしたい方には不向きかもしれません。そして、利便性の高さから土地の価格も高く設定されているケースがほとんどです。
工業系
最後に紹介する用途地域の大まかな分類は、工業系です。主に軽工業の工場やサービス施設などの建設が可能なエリアで、13種類の区分のうち、3種類 が該当します。
工業系の最大の利点は、建設できる建物の幅の広さです。また、地価の安さも工業系の土地のメリットで、購入後はさらに高い価格で売却が成立する可能性もあります。
ただし、工業が多数建設されているエリアのため、悪臭や騒音などの問題に悩まされるリスクがある点に注意が必要です。万が一工場で事故が発生した場合、事故の内容によっては健康被害が発生するおそれがあるほか、公共交通機関の整備が遅れていることもあります。
用途地域の13種類一覧
用途地域は住宅系と、商業系、そして工業系の3種類に大きく分けられますが、細分化すると13種類 に分けられます。以下では、それぞれの用途地域の特徴について解説するため、順番にチェックしていきましょう。
第一種低層住居専用地域
低層住宅のための地域で、建設できる建物の高さは10〜12メートル程度 に制限されています。一戸建てや低階層マンションなどが建てられるため、高い建物がなく採光を確保しやすいです。そのため、閑静な住居環境になりやすく、落ち着いて生活したい方に適しているエリアといえるでしょう。
ただし、商業施設がほとんど存在しないため、買い物や外食などの利便性は高くない点に注意が必要です。また、駅から少し離れるケースもあるため、自動車を所有していない方にもあまりおすすめできません。
第二種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域は、第一種低層住居専用地に次いで建てられる建築物の種類が少ないのが特徴です。また、広さや用途に制限が設けられていますが、第一種低層住居専用地と異なり店舗の建築が認められています。そのため、閑静な街並みと一定の利便性が担保されているのが魅力です。
ただし、すべての第二種低層住居専用地域に店舗が存在するわけではありません。利便性を重視するなら、下見は必須といえるでしょう。
第一種中高層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域は、中高層住宅のための地域です。第一種、および第二種低層住居専用地域では建設が認められていない、大学や病院も建設できる点が特徴として挙げられます。
3階以上のマンションをはじめ、高い建物が多く建ち並んでいますが、あくまでも住むことを目的としているため、日当たりや日陰などの制限の内容は厳しいです。スーパーや病院など、生活に必要な施設も揃っているため、生活するにはおすすめのエリアといえるでしょう。
ただし、大型商業施設はないため、買い物の内容によっては遠くまで移動する必要があります。
第二種中高層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域よりも制限が緩和されているエリアです。道幅にゆとりがあるため車での移動がしやすく、建物もそこまで密集していません。
少し駅から離れた立地が多いですが、郊外の場合は駅周辺や幹線道路沿いに設定されていることもあります。また、幼稚園や小中学校も立ち並んでいるため、ファミリー層向けのエリアといえるでしょう。
第一種住居地域
低層住居専用地域や中高層住居地域と比較すると、高い建物を建設しやすいエリアのため、住居のみならず店舗やオフィスなどが入り乱れる場所になりやすいです。
スーパーや病院など、生活に必要な施設のほとんどの建設が可能であり、生活で不便を感じる場面は少ないでしょう。比較的駅から近い場所にあることも少なくないため、通勤にも便利です。
ただし、人通りがどうしても多くなる関係上、騒音が気になるケースもあります。土地を購入する前に、どの程度人通りがあるかチェックした方がよいでしょう。
第二種住居地域
建造物の規制が比較的緩やかなエリアであり、住居をはじめコンビニや大型店舗、娯楽施設などさまざまな施設の建設が可能です。そのため、生活に必要なものを購入するために遠征する必要がなく、生活の利便性が高いエリアといえるでしょう。
駅や幹線道路の近くに定められていることが多く、交通の利便性も良好です。電車をはじめとする公共交通機関を用いて通学、出勤する方にとくにおすすめといえるでしょう。ただし、幹線道路に近い場合は排気ガスに注意してください。
準住居地域
住居系の用途地域のなかでも制限が緩やかなエリアで、病院や大学、福祉施設や公共施設などの建設も認められています。国道や幹線道路沿いが指定されることが多く、車を普段から利用している方にとくにおすすめです。
週末のまとめ買いも、車でスムーズにこなせるでしょう。ただし、大きい道路が近くにあるため、子どもが通学したり、家の周囲で遊んだりする際は注意が必要です。
田園住居地域
2018年4月 から導入された、比較的新しい区分です。農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅にかかわる良好な住居の環境を保護するために定められました。建物の制限は、第一種低層住居専用地域に近いです。
住宅以外には、幼稚園をはじめとする教育施設、病院、神社、そして2階建て以下の農産物直売所や農家レストランなどの建設ができます。自然に恵まれたエリアであるのが特徴で、農地の貸借を促進する制度が設けられている場合もあるため、農業に興味がある方におすすめです。
近隣商業地域
近隣の住民が食料をはじめとする、日用品の買い物をするための地域です。駅周辺や商店街、幹線道路沿いなどのエリアが多く指定されています。用途制限は緩やかで、一般的な住宅以外に商業施設や事務所、店舗などの建設も可能です。
店舗や飲食店が充実している点が特徴で、外で買い物をしたり、食事をしたりするのが好きな方との相性が良好といえるでしょう。一方で、人の往来が多いため、騒音が気になる方も少なくありません。
商業地域
商業施設が集まるエリアですが、住居の建築も可能です。住環境より商業が優先されるため、賑やかで活気があります。
ターミナル駅周辺のエリアが商業地域に指定されるケースが多く、生活のみならず交通の利便性も高いです。ただし、治安の面で不安が残るため、女性や小さな子どもがいるファミリー世帯向きのエリアとはあまりいえません。
準工業地域
住宅や商業施設などと混在する形で、軽工業の工場やサービス施設が置かれている地域です。工場や関連施設はとくに問題なく建設可能な一方で、火薬やガスを扱う危険性が高い工場や環境を著しく悪化させるような工場の建設は禁止されています。
準工業地域は建設できる建物の種類が多いのが特徴で、普段の暮らしに役立つ施設が集まりやすいため、生活の利便性は高いといえるでしょう。また、土地価格が比較的やすい点も魅力です。一方で、工場が建ち並ぶエリアのため騒音や異臭が発生しやすい点がデメリットとして挙げられます。
工業地域
工場に関係する利便の増進を目的にしているエリアで、住宅の建設は認められているものの、学校や病院などの建設は認められていません。また、商業施設の建設についても、厳しい制限が設けられています。
工業地域は、湾岸地域が指定されているケースが多いです。その場合、大抵は高層マンションが建設されるため、一戸建てではなくマンションに住みたい方は工業地域も選択肢に入るでしょう。
工業専用地域
文字通り工業専用のエリアで、ほとんどすべての種類の工場が建設可能です。卸売市場やごみ処理施設、火葬場などは、別途都市計画決定が必要になります。
なお、工業専用地域はそもそも住居目的の建物の建設が認められていないため、住宅用の土地を探すのはほかのエリアで行いましょう。また、住宅以外にも、学校や病院の建設も認められていません。商業施設についても、パチンコ店やホテルの建設はできません。
用途地域の調べ方
用途地域によって、建設できる建物の制限はさまざまです。最後に、購入希望をしている土地の用途地域を調べる主な方法を4つ紹介します。
用途地域マップを利用する
用途地域を調べるおすすめの方法の1つが、用途地域マップの利用です。その名のとおり、全国の用途地域が調べられる便利なマップで、各地の用途地域が更新されると、それに合わせてサイトのマップも更新されます。
ただし、私的な企業が運営しているサイトのため、情報が常に正しいとは限りません。そのため、過信せず参考情報程度にとどめておきましょう。
国土数値情報ダウンロードサイトを利用する
用途地域の情報を集めるにあたって、国土数値情報ダウンロードサイトを利用する方法もおすすめです。国土数値情報ダウンロードサイトでは、地形や土地利用、公共施設など、国土に関する基礎的な情報を整備し、無償で提供しています。国土交通省が提供しているため、情報の信頼性が高い点も魅力です。
自治体のホームページを利用する
自治体のホームページも、用途地域に関する情報を集める際に有用な情報源となってくれる存在です。自治体によっては、用途地域に関する情報をホームページで公開しています。用途地域は自治体が主体となって決定するため、正確な情報が入手できるでしょう。
ただし、自治体によっては関連情報を掲載していない場合もあります。そのときは、自治体の役所に直接出向き、都市計画課を訪ねて資料の閲覧をさせてもらえないか確認しましょう。
不動産会社やハウスメーカーに聞く
不動産会社やハウスメーカーから、用途地域の情報を教えてもらうのもよいでしょう。不動産会社やハウスメーカーは住宅に関するプロフェッショナルです。そのため、当然用途地域に関する情報も有しています。
とくに地域密着型の不動産会社やハウスメーカーであれば、より詳細なエリアごとの土地の情報も教えてもらえるでしょう。
まとめ
以上、用途地域の基本情報をはじめ、種類ごとの特徴や調べ方などについて取り上げてきました。用途地域は、計画的な市街地の形成を実現するために決められています。
用途地域ごとに住宅の建設の可否や制限が異なっているため、自分が購入を検討している土地がどの用途地域に分類されているか、またその土地で自分が希望している条件を満たした住宅を建てられるか必ず調べてください。
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