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家事動線がいい間取りとは?生活を楽にする間取りのポイント

新しく家を建てるにあたって、自分の理想の家を実現するために、間取りや外観にこだわりを持つ方は多いでしょう。家の間取りを決める際は、日々の生活が快適なものとなるよう、十分に家事動線を考慮することが重要です。
本記事では、これから家を建てる方向けに、家事動線のいい間取りについて解説します。家事動線がいい間取りを実現するために押さえておきたいポイントや、家事動線を重視するうえで気を付けたい注意点なども取り上げますので、ぜひ参考にしてください。
- 目次
家事動線がいい間取りとは
生活の質を高めるにあたって、家事動線を考慮した間取りは必要不可欠です。ここでは、家事動線とは何か、ほかの動線とはどのような違いがあるかについて解説します。
そもそも家事動線って何?
家事動線とは、料理や洗濯、掃除など、家事をするときの動きを表した動線のことです。家事動線を意識した間取りを作るメリットとして、家事効率の向上が挙げられます。
家事効率の良し悪しは、主として家事を行う方の体力的・精神的な負担に大きく影響することから、毎日の生活の質そのものに直結する大切な要素といえます。
また、家事動線に優れた家は、家族間のコミュニケーションの機会が増えることもメリットです。家事動線を意識した間取りの家は、家事をする場所がリビングやダイニングなどの共有スペースに近いケースも多く、家族と顔を合わせる機会が自然と増えます。
さらに、家族がすれ違いやすい広々とした家事動線や、回遊しやすく考えられた家事動線であれば、家族同士で協力して家事を行うこともできます。家族間のコミュニケーションが増えれば、家の雰囲気もよくなるでしょう。
とくに小さな子どもがいる家庭の場合、家事をしながら子どもの様子を都度確認できるのは大きなメリットといえます。
生活動線との違い
家事動線と混同されがちなものとして、生活動線が挙げられます。生活動線とは、家の中で日常生活を営む際に、家族が移動する経路を線状に示したものです。
具体例としては、朝起きてから洗面室へ、リビングからトイレへ、子ども部屋からお風呂へなど、家の中で移動するさまざまな経路が含まれます。生活動線は、家事や育児、日常生活をスムーズに進めるために重要な要素といえます。
こうした生活動線を意識せずに間取りを決めてしまうと、日常生活において不便な場面が増える原因となります。生活動線に問題が発生すると、家に対する満足度が下がってしまい、日常的なストレスにもつながるでしょう。
家事動線がいい間取りを作るための考え方
生活の質を高めるには、家事動線のいい間取りを考えることが大切です。しかし、初めて家を建てる方にとっては、どのような間取りが家事動線をよくするのか、具体的にイメージしにくい方も多いでしょう。
ここでは、家事動線をよくするための考え方について解説します。
収納スペースの工夫
間取りを考える際には、家事動線を意識した収納スペースの配置が重要なポイントとなります。どこに収納を配置するかによって、毎日の使い勝手が大きく変わるため、最初の設計段階で慎重に検討しなければなりません。
たとえば、キッチンに食料品や消耗品を収納するためのパントリーを設ける場合、キッチンの作業スペースに近い場所に配置することで、効率的に使うことができます。しかし、動線を考慮せずキッチンから遠い場所に設置してしまうと、料理をするたびに無駄な移動が発生し、家事の負担が増えてしまうでしょう。
収納スペースを設計する際は、何を収納するのか、どのような動作や流れで収納を利用するのかを具体的にイメージしながら、配置を決定することが大切です。
家事をする順番と移動距離
間取りを決める際は、家事を行う順番や移動距離も考慮しましょう。日常生活において、料理や洗濯、掃除などの家事は毎日行うものであり、朝から夜までの1日を通した大まかな流れはある程度パターン化されます。
たとえば、朝は朝食作りと同時に洗濯機を回し、洗濯物を干してから出勤。帰宅後は買いだした食材を運び、夕食作り、片付け、入浴の準備などの流れが考えられます。
もし、こうした家事の順番や、それにともなう移動距離を意識せずに間取りを決めてしまうと、家事効率に著しく影響を与えるおそれがあります。たとえば、玄関からキッチンまでの距離が遠いと、買った食材を運ぶ工程が苦痛になるといったケースです。
そのため、家事を行う際の動作や移動距離を具体的に想定しながら、間取りを計画することが重要です。いい例としては、洗濯機の設置場所と物干しスペース、さらに洗濯物を収納するクローゼットを同じエリアにまとめることが挙げられます。一か所で作業を完結できると無駄な動きがなくなり、効率が上がります。
来客動線と分けて考える
来客動線とは、ゲストが家を訪れた際の動きを指しますが、家事動線と混同されがちな要素のひとつです。
普段から家で暮らす家族と比較したとき、来客が家を訪れる頻度はそこまで高くありません。そのため、来客動線を意識せずに間取りを決めてしまうことも少なくありませんが、家づくりにおいて重要な要素です。
たとえば、客間からリビングやキッチンといった家族の生活スペースが丸見えになっていると、ゲストが気まずく感じることがあります。また、ゲストがトイレを利用したいときに、リビングやダイニングといった家族の生活圏を通らなければならない間取りでは、気を使わせてしまう可能性があります。
そのため、来客が一定の頻度で訪れる家庭では、ゲストが快適に過ごせるよう、来客動線をしっかり考慮した間取り作りが大切です。
行き止まりのない設計
家事動線のいい間取りを考えるときは、行き止まりのない設計にしましょう。たとえば、行き止まりにキッチンの出入り口が配置されている場合、家族がキッチンを行き来するたびに出入り口が塞がれてしまい、家事効率が悪化します。
行き止まりのない設計を実現するにあたって、おすすめしたいのが回遊動線です。回遊動線とは、家のなかの動きに行き止まりのない動線のことで、移動が楽になるだけでなく時間も短縮できます。また、開放感が得られる、換気がしやすいなども回遊動線のメリットです。
場所別に考える!家事動線をよくする間取りのポイント
家事動線をよくする考え方はさまざまですが、場所によって、よりいい間取りを実現するためのポイントは異なります。ここでは、場所別に家事動線をよくする間取りのポイントについて解説します。
キッチンから考える動線
キッチンの場合は、水回りを集約することがポイントです。水回りを集約すれば、洗濯やお風呂の準備など、料理とほかの家事を同時進行できます。
また、キッチンの場合、コンセントの数と配置にも気を配りましょう。キッチンでは冷蔵庫や電子レンジなど、家電を扱う機会が多いです。そのため、コンセントの位置と配置をしっかりと検討する必要があります。
たとえば、キッチンカウンターの近くにコンセントを設ければ、タブレットやスマートフォンを充電しながら使用できるため、利便性が向上するでしょう。キッチン側の壁側にコンセントを配置すれば、ハンドミキサーやフードプロセッサーなどの調理家具も使用できるため、家事効率の向上が期待できます。
洗面所・ランドリールームから考える動線
洗面所やランドリールームは、基本的に物干しスペースや収納エリアの近くに配置することがおすすめです。
「洗面所・ランドリールーム」「物干しスペース」「収納エリア」これら3点の距離が遠い場合、洗濯に時間と手間がかかり、生活の質が低下するおそれがあります。洗濯に関わるスペースを近くにまとめれば、移動距離を短くできるため、家事をスムーズにこなせるようになるでしょう。
また、サンルームを設置する場所は、衣類が乾きやすい構造・配置であることを重視しましょう。天気や時間、空気中を舞う花粉や化学物質に関係なく衣類を干せるサンルームは人気ですが、換気や湿度対策を考慮することで、より使いやすい空間にできます。
収納スペースから考える動線
収納の配置を考える際には、収納するものを実際にどこで使用するかを意識することが大切です。たとえば、掃除道具専用の収納を設ける場合、掃除を行うエリアに近い場所に配置すれば、道具の出し入れがスムーズになり効率的です。
しかし、掃除場所から遠く離れた収納にしてしまうと、毎回長い距離を移動する手間が増えてしまうでしょう。実際に使う場所の近くに収納スペースを配置することで、効率的な家事動線を実現できます。
また、収納の数や大きさを決める際には、現在の荷物だけでなく、将来的に増える可能性のある荷物も考慮して計画しましょう。新築の戸建て住宅に必要な収納スペースは、収納率を目安に決めるのがおすすめです。
収納率とは、住宅の床面積に占める収納スペースの割合のことで、戸建て住宅の場合、収納率は延べ床面積に対して10〜15%程度が適切といわれています。ちなみに、マンションの場合は8〜10%が一般的な収納率です。
家事専用の部屋を設ける
動線がうまく決められない場合は、専用の家事室を設けるのもおすすめです。家事室とは、洗濯をはじめとする家事作業を効率的に行うための部屋で、ユーティリティスペースとも呼ばれます。
専用部屋として設けることが一般的ですが、広い部屋の一角に専用スペースとして設けるケースも珍しくありません。家事室は、家事動線上に配置すれば作業効率を向上させられるほか、一時的な収納スペースとして用いることもできます。
ただし、敷地が狭い場合、家事室の存在がほかの部屋を圧迫する可能性があります。また、家事室を作ったものの、実際にはあまり使用されなかったケースもあるでしょう。
また、子どもがいる家庭の場合、子どもの様子がわからないのも不安要素となります。子どもの行動は予測不可能のため、できるだけ目を離したくない方も多いものです。こうしたメリットとデメリットを比較したうえで検討しましょう。
「苦手な家事」に関わる動線こそ重視しよう
家事動線を考える際は、得意な家事よりも苦手な家事を意識したものにしましょう。具体的なポイントは、以下のとおりです。
家事動線は料理や洗濯だけでは決まらない
家事の種類は、掃除や洗濯、買い物などさまざまです。このなかに苦手な家事があれば、とくに動線にこだわりましょう。
家事動線は、作業の効率化を助けてくれる存在です。作業の効率化に成功すれば、普段から苦手にしている家事もスムーズに終えられるため、心理的な負担も減らせます。
苦手な家事があれば設計士に相談
苦手な家事の効率化を目指すとしても、どのような間取りにすればよいかわからずお悩みではないでしょうか。その場合は、設計士に相談してみましょう。
設計士に相談するメリットは、間取りの細かい部分まで話し合いができることです。話し合いを通して、ライフスタイルや独自のこだわりなど、個人の要望を実現するデザインや仕様を提案してくれます。
苦手な家事や動線について相談すれば、満足する間取りや動線を考えてくれるでしょう。
家事動線のいい間取りにデメリットはある?
家事動線のいい間取りは、その家に暮らす人々にさまざまなメリットをもたらしてくれますが、デメリットも存在します。以下では、家事動線のいい間取りの具体的なデメリットについて解説するため、順番にチェックしていきましょう。
コストが高い
家事動線のいい間取りのデメリットのひとつとして、コストの高さが挙げられます。家事動線にこだわる場合、キッチンをはじめとする家のさまざまな場所の間取りを独自に設計するといったケースもあるでしょう。専用のユーティリティスペースを設ける場合もこれにあたります。
しかし、独自性のある間取りにこだわると、どうしても工費がかかりやすくなります。工費が高くなれば、予算を超えてしまう可能性が高まるため、その結果ほかの条件を諦めざるを得ないケースや、家の建築そのものを中止せざるを得なくなるケースも考えられるでしょう。
家事動線のいい間取りを検討している場合は、どの程度予算を確保できるかまで考えてください。
プライバシーを守りにくい
プライバシーを守りにくいのも、家事動線がいい間取りのデメリットです。家事動線のいい家は、壁やドアが取り払われ、各部屋にアクセスしやすい構造になっていることもあります。
こうした家は、家事を行ううえでは便利な一方で、住む人のプライバシーが保たれにくく、落ち着いて過ごしにくい場合もあります。とくに、子どもがいる家庭では、思春期にプライバシーが十分に確保できない状況がストレスとなり、結果的に家で過ごす時間が減る可能性も考えられます。
収納スペースを確保しにくい
収納スペースを確保しにくくなる点も、家事動線がいい間取りのデメリットでしょう。家事動線を意識した間取りは、最小限の壁で構成されるケースもあり、こうした場合は収納を設けるスペースを確保しにくくなります。
そのため、家事動線を考慮しつつ、十分な収納を設けられるスペースを確保する工夫が必要となるでしょう。
家事動線のいい間取りのアイデア集
最後に、家事動線のいい間取りのアイデアを坪数ごとに紹介します。これから間取りを考える方は、ぜひ参考にしてください。
30坪の場合
30坪の住宅の家事動線を意識した間取りのアイデアとしては、勝手口の存在が挙げられます。勝手口とは、キッチンやユーティリティスペースなどに設けられる出入り口のことです。
勝手口があれば、洗濯した衣類を物干しスペースまで運んだり、買い物した食料をキッチンまで運んだりする際、玄関に都度移動する必要がなくなるため、家事の効率が大幅に向上するでしょう。換気をしやすい、ゴミをすぐに屋外に運び出せるなどのメリットもあります。
ただし、勝手口は玄関と比較すると人目につきにくい場所に設置されるため、強盗の侵入経路になりやすいです。勝手口を設ける場合は、必ず防犯対策を行いましょう。
35坪の場合
35坪の住宅の場合、子育てをしている家庭が多くなるため、家事動線のなかでも子育てを意識した間取りにするといいでしょう。
子育てのしやすい間取りのアイデアとしておすすめしたいのが、ペニンシュラ型キッチンです。ペニンシュラ型キッチンとは対面式キッチンの1種で、キッチンのカウンターの左右どちらかが壁に接しています。
このペニンシュラ型のキッチンをフロアの中心に配置すれば、料理や片付けをしている間も子どもたちの様子を見守ることが可能です。一方で、収納スペースが限られやすい点がデメリットのため、採用する前にメリットとデメリットをよく比較しておきましょう。
40坪~それ以上の場合
40坪以上になると、広々とした動線を確保しやすい反面、ちょっとした移動が手間になるケースがあるでしょう。そのため、より家事動線を意識した間取りを考える必要があります。
40坪以上の住宅でおすすめしたいのが、家事専用のユーティリティスペースやサンルームの設置です。また、アイランドキッチンを採用すればキッチン周りの移動がスムーズにでき、料理や配膳の効率も向上するでしょう。
まとめ
家事動線を意識した間取りは、生活の質を高める効果がある一方で、収納スペースやプライベート空間を確保しにくい、コストがかかるなどの問題点もあります。両者を比較したうえで、家事動線がいい間取りを採用するか決めましょう。
家事動線を意識した間取りの住宅を検討している方は、ぜひ群馬セキスイハイムにご相談ください。家事をスムーズにするさまざまな間取りのアイディアを、県内展示場やモデルハウスにて実際にご体感いただけます。お客様のご希望に沿ったプランを無料でご提案させていただきますので、ぜひお気軽にお越しください。